厳冬〜春の食い渋りメバルを攻略せよ☆


東京湾のエビメバル釣りは、私にとって最もポピュラーな釣りで、かつ繊細な中に奥深さもあり、あらゆる釣りの技能を高めるべき原点みたいなところがあります。オモリはわずか15〜20号程度で、大変軟調メバルの専用長竿を操る、独特な釣法であります。
昨今の東京湾内は、自主禁漁期間を設け、例年12月から1月一杯までを禁漁とし、その間の魚の出産(卵胎生魚の為、抱卵ではないです)を保護することで資源の枯渇を防ごうと努力しているようです。解禁後も腹に子供を抱えた成魚が釣れることも少なくないのですが、時たま釣り上げられたショックからか、バケツの中で大量の子供を産み放つ個体もあります。この禁漁の効果がいかほどなモノか、私には知る余地もありませんが、少なからずこの間の出産はある程度守られることとなります。しかし、プレジャーボートや漁師の刺し網では漁獲するわけですから、あくまでも一部組合やその地域における禁漁期間に過ぎません。
2月に幕開けとなるメバル釣りは、それまでプレッシャーのかかっていないポイントを中心にそれなりの釣果が得られます。しかし、水温の上がってくる晩春〜初夏がこの釣りの最も釣果のあがるシーズンで、とかく冬の釣りモノと思われがちですが、あながちそんなこともありません。ある意味、こぞって皆さんがメバル釣りに訪れる2月や3月は厳しい時期であります。しかし、数より型を求める人には、尺上の良型をゲットすべくいいシーズンでもあります。水温の下がった時期に、良型の魚が深場に固まるのか、例年30センチ前後の大型が釣れるのはこの時期に多いです。私自身、禁漁がもうけられる以前の1月には、湾内としては自己記録の34センチ、他に32センチ〜30センチクラスの良型は、2〜3月に釣り上げております。小型の30匹よりも、良型の3匹を求める私のようなアングラーにとっては、まさにこの厳しいシーズンこそオンタイムということになります。

私のメバル釣りのスタイルはいたって基本的なモノです。やはり専用の「エビメバル」竿を使用し、長さは2.7m。3本針の仕掛けの全長が約2.4mほどありますので、このくらいの長さがあったほうが釣りやすいです。軟調竿で穂先が敏感なモノが良く、愛用している竿は今は無きリョービの夢幻海メバルを改良したモノです。リールは、個人的なこだわりから「チヌジャッカー」を使用し、ラインはPE1号程度。先端に短い先糸をフロロの5号程度結んでいます。ハリスの長さは30センチほど、フロロの1.2または1.5号を使用します。無闇に細い糸を使うと、入れ食い時の糸ヨレがひどくなりかえって手返しが悪くなります。また、良型のアイナメやクロソイが時としてヒットしてきますので、このくらいの太さをオススメします。下手なことをしなければこの位の太さで遜色なく釣れるものです。私は市販の仕掛けを使用しています。以前は自分で作っていたのですが、市販のモノでも満足できるモノが最近は売られています。餌は、モエビを中心に、皆さんいろいろな餌をお試しになりますし、小さなゴリなどを使用すると良いことも多いですが、私はこの時期はまずほとんどモエビしか使用しません。
●着底で根を知ることが大事
私は湾奥のエビメバル釣りでは、オモリ着底後、そのオモリを浮かせることはほとんどありません。かといって、全く動かさないわけではなく、オモリの着底で底の状態を確認し、動かすかどうかを判断します。オモリの着底の仕方で、底に根があるのか砂泥底なのかは、釣りを初めてやる方でなければ大半の人がわかるはずです。
底に根があるときは基本的にその場でジッとアタリを待ちます。そうでない場合も、その周りの根から魚が飛びついてくるかもしれないので、しばらく何投かは様子をみます。その後のアタリの出方で、根がないとアタリが出ないようであれば、根に当たるまでゆっくりと大きく仕掛けを動かします。このとき、慌ただしくオモリを動かしたり、根をこづいたりすると、この時期の魚は警戒し散ってしまうようです。
●張るか弛ませるか
オモリを付けたまま釣るといっても、私の場合、大きく二つの釣り方があります。ひとつは、道糸が張らず弛まずの状態でじーっとしているだけ。もう一つは、竿先を目線くらいにしてオモリを着底させ、着底後しばらくしたら竿先を下げて、糸を弛ませて釣る方法。弛ませた場合は、道糸の動きや道糸からの反応でアタリをとることもできますが、たいていの場合しばらく弛ませておいた仕掛けをききあげてくるときに「コツ」と前アタリが出ることが多いです。しかしながら、活性の高いときは弛んだ仕掛けを引ったくっていくこともあり、一概にどうこうは言えません。
川崎や京葉のバースなどでは、私は基本的に前者の釣り方。これにたまに少々弛ませるような具合で釣ります。沖の根回りや目に見える障害物から少々離れたポイント、定番の本牧などでは、後者の釣り方で比較的やっています。本牧の海釣り公園の沖の魚礁など、比較的根が荒いところで弛ませたりすると必ず根掛かりしますので、自分なりに考えながら釣っています。また、お客さんの多い船上で仕掛けを弛ませるとオマツリしますので注意も必要です。
3月23日は、非常に厳しい釣況でした。釣法は前者。船長の操船はピンポイントにあわせ、船を前後させて根の上に船を据え付けてくれています。周りの状況から、魚はピンポイントに固まっていると判断。メバルの着いていそうな場所を自分の釣り座の範囲で探して、ここぞというところでじっくり待機。クラッチを切ったままにし、仕掛けが浮き上がったり動いたりするのを防ぎます(この時に、スマックみたいな機能があると便利ですね)。ストラクチャーの根回りで、底から3m位のところに何やら障害物があります。巻き上げると素直にその障害物に絡むこともあるのですが、その下に魚はいると思いまして、、、そっと着底させ、糸は張り気味でじーっと待ちます。しばらくして、餌を眺めていただけの活性の低い魚の群れの1匹が口を使ってくれました。竿先にまず現れたのは「コココン」という小さなブレ。そのままジッと待つと糸が張り気味になり、竿先が多少緊張します。と、竿祭がググググっと持ち込まれるので、ここで竿に魚を乗せます。グイグイひっぱるいい引きで幅広の25センチクラスをゲット。続けて、覚えておいた同じ場所に投入。着底程なくしてまたアタリ。今度は竿先に「コツ」っときただけ。…さっきまで、ずっと同じところに打ち返してきたのに、アタリが出るまでに時間がかかっています。それだけ、魚の警戒心が強いと思われます…それで、「コツ」のあとしばらくして、グイっと竿先が入り、竿は満月。いい引きであがってきたのは当日の私の最大の幅広26センチ。このホンの一時に3匹を連釣しましたが、その後はさっぱり。障害物に引っかかって1匹バラシ、このバラシもその後の釣果の低下に繋がったはずです。
●大事な基本的なこと
ハリスのちぢれ、幹糸へのハリスのヨレは釣れない原因のひとつです。アタリが少ないときは仕掛けのチェックは忘れずにしなければいけません。勿体ないと思わずに、迷わず新しい仕掛けに変えてしまうことも必要です。
餌のモエビは白くなったら変えます。またポイント移動すると、針に付けたままにしておくとエビが乾燥して死んでしまいます。これを付けたまま投入するのもダメですね。釣れなければ、一度仕掛けを揚げて、ハリスのヨレや餌の状態をチェックすることも大事です。
「仕掛けを動かすなと言われても、船の上下動で動いちゃいますよ!」と、以前、そんなことを私に投げかけてきたい方がいました。私は、リールのクラッチを切ったままの状態でアタリを待ちます。そして、船が大きく揺れてしまうときは、自然に竿先をコントロールしてあげて、それを吸収してやればいいのです。これだけで、仕掛けが動かない状態を作ることができます。

・・・あくまでも食いの渋い時期のおはなし。活性の高まるこれからの時期は2点3点掛けありの、投入後すぐに「ががががが」ってな爽快なアタリ有りの釣りにも化けます。時期によって様変わりするエビメバル釣り。これからの時期はカサゴも期待できます。これはこれでまた違った面白さがありますが、引きはメバルのほうが断然イイモノです。今回の釣行の釣果は8匹でした。序盤、ストラクチャー周りで2匹、本牧で2匹、後半ストラクチャー周りで4匹。お隣でジッと待つ&ピンポイント投入で展開した早川名人も良型主体に6枚。食いは悪いも、型が良かったのでこの厳しさがまた楽しかったりしました。しかし、なかなか尺上ってのは出ません。そろそろ30upが釣りたい今日この頃です。